安い材料で分厚い防音壁を造ったほうが施工業者側は利益が大きくなるという仕組みは理解できる。
しかし、依頼者(施主)にとっては費用対効果(音響・防音性能)が低い。
これは業者側の使用する防音材に左右される。
性能の低いものを重ねて分厚く施工するのは、いたずらに空間を狭くするだけであり、資産価値が低下する。
大半の防音業者が、現場で使用する防音材の音響・音測定を実施したり、体感しながら設計仕様を調整するという手間をかけていない。検証が足りない。
安易に自社の古い設計仕様をもとに金太郎飴のような工事をしているだけである。
石膏ボード、合板、無垢材、シージングボードなど一般建材と防音材の相乗効果を検証することなく、コインシデンスすら考慮していない仕様・工法に問題がある。
加えて、高性能な製品を組み合わせたり開発するという努力をしていない。
そのような背景が、市販の防音材の費用対効果が低いと言われる理由の一つである。
効果の余りない製品に、薄い遮音シートがあるが、これも活用次第では防音効果が出る。普通にボードや床材に面的に張り付けた時点で、その効果はほとんどなくなる。
防音材自体の選定だけでなく、音響・防音設計技術、施工技術が重要なのである。それが費用対効果を高める。