ある木造2世帯住宅の1階に賃貸住居を作り、オーナー家族が2階に居住するという構成です。
この住宅のオーナーが階下の木造床(フローリング)を改造して防音対策をしたいという相談だった。
この依頼者は私の提案までは納得していたのだが、途中で突然、大手防音材メーカーの防振ゴムマット(遮音ゴム)9ミリを敷き詰めてフローリングを施工するから、私の提案の防音材は要らないと言い出した。
ああそうですか、勝手にやってくださいとコンサルティング費用だけいただいて話は終わりということだった。
ところが、いきなり私が提案した防音材(遮音ゴムマット3ミリ+振動絶縁材6ミリ)のサンプルを1畳分だけ送ってほしいと言い出した。メーカーとの約束で1枚だけ納品することは不可能ということで、大分もめたので、諦めるかと思った。
そうしたら、また連絡があり、5枚セットで良いからぜひ欲しいと言われた。なんで、要らないと言っていたのに欲しいのかと聞いたら「大手防音材メーカーの防振ゴムが足音にほとんど効果がなかった」というのである。
だから、その問題は最初に説明したんだから、勝手にすると相談者自らが判断したわけで、自己責任で工事してくださいと私は念押しした。
結局、後日、私の防音材をセットで納品して、実験してもらったところ、私の提案のほうが格段に防音効果があるということで、当初の案にもどって施工することになった。
要するに大手防音材メーカーの防振ゴムを提案したのは施工を担当するリフォーム業者だったので、オーナー自身がその提案を最初は信じていたということで、自分には責任がないと言い訳していた。そんなことはない「リフォーム業者の提案を採用した、貴方の責任」であることは明白だ。
依頼者は、私の看板が小さいので、大きな看板のメーカーの防音材のほうを信じていたけど、実際に確かめたら、私の提案のほうが防音効果が高かったという話である。
*私としては断りたかったけど、泣き付かれたので、しぶしぶ承知した次第である。
床の防音対策に一種類の防振ゴムだけでは、対応できないという典型例である。